坪井 多様体 §6.4 - コンパクト多様体上のフロー

2017-07-16 (Sun.)

数学 幾何学

コンパクト多様体の上のベクトル場

定理

コンパクト多様体 \(M\) の上のベクトル場 \(X\) に就いてフロー \(F_t\) が存在して \[\frac{dF}{dt}(t, x) = X(F(t, x))\] が成立する.

定理

連結なコンパクト1次元多様体 \(M\)\(\mathbb{R}/\mathbb{Z}\) と微分同相.

証明

連結な一次元なので、向きを定めることが出来る. 即ち、\(M\) の有限個の被覆 \(\{ (U_i, \phi_i) \}_{i=1,\ldots,k}\) であって、 座標変換 \(\gamma_{ji} = \phi_j \circ \phi_i^{-1}\) についてその微分が \(D \gamma_{ji} > 0\) (i.e. \(\forall x, (D\gamma)(x)>0\)) である.

\(\phi_i\) が与える (一次元) 座標を \(t^i\) とする. \(\{U_i\}\) による 1 の分割を \(\lambda_i\) とする.

\(M\) の上のベクトル場 \[X = \sum_i \lambda_i \frac{\partial}{\partial t^i}\] は、どの点でもゼロにならない. なぜなら、座標変換を考えると \[\frac{\partial}{\partial t^i} = (D \gamma_{ji} \circ \phi_i)(x) \frac{\partial}{\partial t^j}\] なんで、 \[X(x) = \sum_i \lambda_i(x) \frac{\partial}{\partial t^i} = \sum_i \lambda_i(x) (D \gamma_{ji} \circ \phi_i)(x) \frac{\partial}{\partial t^j}\]

\(\lambda_i(x) \leq 0, (D \gamma_{ji} \cdots)(x) > 0\) でかつ、1の分割はある \(i\)\(\lambda_i(x) > 0\) なので、安心して \[X(x) = \alpha \frac{\partial}{\partial t^j} ~~(\alpha > 0)\] となる.

さて、この \(X\) が生成するフロー \(F_t\) を考える. ベクトル場は常に非ゼロなので、フローの軌道が点になることはない. 実は軌道は \(M\) と一致する. 軌道を \(A = \{ F_t(x_0) : t \}\) とする. \(M \ne A\) とすると、\(M \setminus A\) の元であって、近傍が \(A\) と交わるような点がある. その点を通る軌道を書くと \(A\) に交わって (一次元だから) 結局、その点も \(A\) に含まれることになる. なので \(M=A\).

\(A\) は前の定理から、\(t\) についてある周期 \(T\) があるので \(A=M\)\(\mathbb{R}/T\mathbb{Z}\) と微分同相. 従って \(\mathbb{R}/\mathbb{Z}\) とも微分同相.