Apr 10 2013

家族三人で歩いていたら、まるで旅から帰ってきたみたいな気軽さで
父親が私達の目の前で現れた
父と最後にわかれたのは、こことは随分遠く離れた場所である
母親は何も言わなかった
我々はその時たまたま持っていた袋に入れた塩せんべいで父をもてなした
高校教師であった父親
いつも母親に言い負かされていた父親
駅のホームで父親はまた旅に行くよとでもいった風な軽さで、飛び込んだ
しかし電車が来たのは向こうのホームで、父は線路と線路の間くらいに
着地してしまった.母は「もう少し!」と思わず叫んだ
父親は少し前転し、上手く向こうの線路の上で電車をちょうど迎えた
父親は電車に轢かれながら、顔ははっきりとこちらを向いていた
私は途中で父親がマネキンに入れ替わったように見えた
何かテレビの撮影現場を見ているような気分にもなった
体が裂けていき、たしかに人間である証拠の液体を噴くと
私は姉とともに後ろを向いた.こうするのが正しいのだと思った
母は何を思ってたか知らない
死体はなかなか回収されなかった