Sun Jun 11 2017

点列の収束の定義

位相空間における収束とは、点列 \(\{x_i\}\) に対してある \(x_\infty\) があって、 \[\forall W, \exists N, \forall n>N, x_\infty \in W \implies x_n \in W\] が成立すること (\(W\) は \(x_\infty\) の近傍). この \(x_\infty\) のことを正に収束値と呼ぶのであった ¹.

例えばこれが距離空間であれば、 \(\forall W, x_\infty \in W \implies x_n \in W\) は \[\forall \epsilon, \|x_\infty - x_n\| < \epsilon\] などと書き直せる.

閉集合と点列の収束

証明 \((\Rightarrow)\)

閉集合 \(V\) について後件を示す.
\(U = X \setminus V\) とすると \(V\) が閉集合であることは \(U\) が開集合であることと同値.

収束する点列 \(\{ x_i : x_i \in V\}\) の収束値 \(x_\infty\) が \(U\) に属すると仮定する.

\[\forall W, \exists N, \forall n>N, x_\infty \in W \implies x_n \in W\] であるが、\(U\) は開集合であるので、 \[\forall x \in U, \exists W \subseteq U, x \in W\] が成立する (\(U\) からはみ出ない近傍が存在する). これを \(W\) として採用すると、 \[x_n \in W\] が成立しない (\(x_n \not\in U\) としたので).

矛盾が生じたので仮定が誤りで、収束値は \(U\) に属さない. 即ち、\(V\) に属する.

証明 \((\Leftarrow)\)

逆の証明は今の証明のほぼほぼ逆そのまま.

背理法で示す.
\(V\) が閉集合ではないと、即ち、\(U=X \setminus V\) が開集合ではないと仮定する.

全く先ほどと同様に、\(U\) が開集合ではないことから、 \[\exists y \in U, \forall W (y \in W), W \not\subseteq U\] が成立する.

\[\begin{align*} W \not\subseteq U & \iff \exists y' \in W, y' \not\in U \\ & \iff \exists y' \in W, y' \in V \end{align*}\]

であることに注意すると先ほどの命題は次のように書き換えられる: \[\exists y \in U, \forall W (y \in W), \exists y' \in W, y' \in V\]

この \(y\) を収束値に持つような点列を構成することにする. \(y\) に対して \(W\) を与えた時、上を満たすような \(y'\) を \(y'(W)\) と書く.

領域を単調に狭めていくような近傍の列 \[\{W_i : y \in W_i\}\] に対して点列 \[\{y'(W_i) : y \in W_i\}\] を構成すると、各点は \(y' \in V\) であって、収束値は \(y \in U\) となる.

というわけで矛盾.

稠密の定義

集合 \(V\) が \(X\) に稠密であるとは、 \(V\) の閉包 \(\overline{V}\) が \(X\) と一致することである. この定義は次と同値: \[\forall U \subseteq X, U \ne \emptyset \Rightarrow V \cap U \ne \emptyset.\]

命題

\(0\) に収束する \(\mathbb{R}\) の上の点列 \(\{a_i : a_i > 0\}_i\) によって集合 \[X = \{ na_i : n \in \mathbb{Z}, i \in \mathbb{N}\}\] を構成する. この \(X\) は \(\mathbb{R}\) に稠密である.

証明

\(\mathbb{R}\) の任意の開集合を取る. \(\mathbb{R}\) の開集合の定義は大体、 開集合 \(\{(\alpha, \beta): \alpha<\beta\}\) で構成するので、 \[\forall \alpha < \beta, (\alpha, \beta) \cap X \ne \emptyset\] であることを示せばよい. 点列が \(0\) に収束することから \[\exists i, a_i < \beta - \alpha\] が成立する. そのような \(a_i\) を取り出した時、 \[\exists n \in \mathbb{Z}, n a_i \in (\alpha, \beta)\] が成り立つことを言う. まぁ普通に考えたら成り立ちそう. \[K = \max \{ k : k a_i \leq \alpha\}\] とすると、 \(K\) が最大値であることから \[(K+1) a_i \not\leq \alpha \iff (K+1) a_i > \alpha\] また、 \[\begin{align*} (K+1) a_i & = K a_i + a_i \\ & \leq \alpha + a_i \\ & < \alpha + (\beta - \alpha) = \beta \end{align*}\] というわけで、 \[(K+1) a_i \in (\alpha, \beta)\] である. というわけで \((\alpha, \beta)\) は \(X\) と交わりを持つ.

有理数の稠密

点列 \(\{a_i = \frac{1}{i} : i = 1,2,\ldots \}\) は \(0\) に収束する. \(\mathbb{Q} = \{m a_i : m \in \mathbb{Z}, i\}\) であることと先ほどの命題から示された.

参考