🔙 Back to Top

Sun Nov 12 2017

ここ数年で良かったマンガ

ここ数年で良かったマンガ の続き. まだまだあるので、どんどん行こう.

木根さんの1人でキネマ - アサイ (既刊4巻)

まあまあ 1. も面白いけれど、タイトルを羅列されていても、「あ〜そんなにたくさんあるんだなあ」という雰囲気だけを楽しんでる. ほとんどは知らないし、調べたりはしない. それは私自身は映画マニアじゃないから. しかし 2. は私にも覚えがあるので共感ができる. 親に趣味を隠したり、否定されたりしてきた思い出を面白おかしく描いている作品だと思う.

ついでながら、こういう社会人女性が主人公のマンガが私は好きだ. マンガなんだから、もっと若く女子高生とかにしておけば、それはそれで人気は出るのかもしれないが (別に性的対象として見てるわけじゃない)、 やっぱり社会人を主人公にすると、 学生時代の思い出 (親の前での振る舞い) が使えたり、 会社での大人な振る舞いとプライベートでの子供的な振る舞いの二面性を使えたり、単純に描けるシーンが増えるからかもしれない. 妙齢であるはずの女性をどこまで可愛らしいキャラデザインで描くかなどハラハラしながら見るという楽しみ方もある.

星明りグラフィクス - 山本和音 (既刊1巻)

今年読んだ中で最も良かったマンガかもしれない.

単なる天才に共感は出来ない. 明里は天才に才能を全振りしている一方で、性格が悪かったり、極度の潔癖症をもっている. そういうもろな欠点を持っているので、天才が鼻につかない. 完璧な人間なんていないんだな、と安心する.

それよりも読んでて好きになるキャラクターは星の方である. こちらは活発で元気いっぱいの女の子だと思いきや、もっと性格が悪くて人を利用して自分に役立てることしか考えていない. 美術の才能の無さをそれで補っているようである. 明里の作品をちゃっかり自分との連名で提出し賞を出すような人である. 明里はデザインにしか興味がなくデザインの仕事を与えられることを喜んでいるので、 利用されているという風には思っていない、あるいは気づいていない.

ただの学園部活モノのような、頑張る学生の爽やかさを描いたマンガじゃなく、 星をどうやって人を裏で動かしているのかを覗き見る楽しみである.

ところで読者の多くは単なる凡人である. 必ずしも自分がいる分野で、自分はそのトップであるわけではない. なのにやらなければならない. 星という女の子は、こんな方法もあるのだと読者に希望を見せてくれる.

タイトルの「星明りグラフィクス」とは作中でも登場するが、 明らかに2人の下の名前はこの「星明り」から取られている. 二人共、性格に大きな問題を抱えているが、性格上の問題は全てポジティブにしか扱われない. 「星明り」という言葉を念頭に置いて改めて読むとなんとも味わい深い.

少女終末旅行 - つくみず (既刊5巻)

まさに今、アニメ化され放映中なので、これを出すとにわかに思われるのが嫌なので出しにくいけど.

この世界には少女2人しかいないのではないか、と思ってしまうほど、他の生き物が感じられない、かつて都市であっただろう世界を、 2人はケッテンクラートとともに旅行をしている (旅行??). なぜ2人以外にいないのか、またどこを目指して旅行しているのだろう、というのが一巻を読んだ後の感想.

読んでいると、その世界は階層から成っていることが分かり、2人は最上階を目指しているらしいことがわかる. また2人以外にもいることがわかる. 1巻毎に一人登場し、そして必ず消えるというスタイルが面白い. 基本的にはみんな生存を目指しているのだが、それを感じさせない、穏やかなのが良い.

名台詞だと思う.

文明がほとんど崩壊し終えつつあるぐらいの世界で、おそらく教育はほどんと無く、識字率も低いんだろう. 一人は本を沢山集めて読んではいるが、それでもたまに読めないという. 一人はほとんど読めず、なんとか「ごめんね」を「ごぬんね」と誤って書くくらいである. 例えば「神様」という概念について本で伝え聞いただけの2人は2人の間だけで議論を行い、神様とは何か、死後の世界とは何かを考察する. ある意味で、皮肉本になっているのが面白い.

やがて君になる - 中谷鳰 (既刊4巻)

恋愛、というか百合の作品のストーリーって、実際ほとんどパターンが出尽くしていて、 ぶっちゃけそこまで、ここがすごい!って言うほどのものなのかな. 見たこと無いように思えるように見せる、くらいの工夫でしかないんじゃないかな.

まあ、絵が可愛い.

惰性67パーセント - 紙魚丸 (既刊3巻)

著者の紙魚丸は普段エロ漫画を書いてる人だという認識だけど、 エロ漫画家が描くエロではないギャグ漫画は面白いという説が私の中である. その説を確立させたのが、道満晴明さん.

道満晴明 (著者)

あ、いや、道満晴明のことをエロ漫画家だとは思ったことないけど. エロ漫画に連載されるのが前提の性表現が多いので. ただ読んでエロいとは思わないと思う. (紙魚丸さんはガチのエロ漫画を描く人だけど.)

下ネタ、ブラックユーモアを多用しつつ、最後には感動させるようなオチが初期の特徴.

最後の性本能と水爆戦

性本能と水爆戦 征服

よりぬき水爆さん

この3つはかなり初期の作品. 絶版してたけど、 数年前 (2013年くらい?) にまた出版し始めた. なんか紙が雑誌のそれで、すごくコストカットされてる.

よく映画や映像作品で、シリーズものになってても「初代が一番」だと言うが、 漫画家についても同様だと思う. 道満晴明らしさを一番感じられるのは、この3作品だと思う.

最近で言うと、「ぱらいぞ」「ヴォイニッチホテル」「ニッケルオデオン」が好き. ぱらいぞは下ネタばっかりの4コマなので人には薦めないけど. ヴォイニッチはしっかりとした長編になってて、粋を感じる. ニッケルオデオンは、長編と言えば長編? 3巻じゃなくて「赤」「緑」「青」と出てる. 明らかにポケモンの赤箱〜青箱だ. 一応順に読めばいいけどどの巻のどの話から読んでも問題ない. 不思議な小話をブラックユーモアで描いているという感じで、道満晴明らしさを洗練させている.

ちなみにニッケルオデオン青(第三巻)の最後で今までの登場人物を総出させるやり方が好きじゃなくて、 Twitterでそういうことを言ったら道満晴明にブロックされた.


じゃあとりあえず、こんなもんで.