2020-02-07 (Fri.)
\(\def\Rn{\mathbb R^n}\)
有限次元ユークリッド空間 \(\Rn\) においては, コンパクトであることと有界閉集合であることは同値.
\[\forall Z \subset \Rn, Z \text{ is compact } \iff Z \text{ is bounded and closed.}\]
証明は次の3つに分けた補題から示される.
これは 以前に 証明済みなので概略だけ言う. \(\Rn\) はハウスドルフ空間である(実数が稠密であるのでそれは明らか).
コンパクト集合 \(Z\) があるとき, その補集合 \(Z' = \Rn \setminus Z\) が開集合であることが確認できればいい. 開集合であることは, 任意の点の周りに開集合が取れればいい. つまり, \[\forall x \in Z', \exists \text{ open } U, x \in U \subset Z'\] というように \(U\) が構成できればいい. ここでハウスドルフの性質を使う. 点 \(x\) に対して全ての点 \(z \in Z\) を分離出来る. \[\forall z \in Z, \exists z \in V_z \in Z, \exists x \in U_z, V_z \cap U_z = \emptyset\] これで \(U_z\) をすべて集めて積をとれば \(x \in \bigcup U_z \subset Z'\) には違いないのだけど, 一般に無限個の開集合の積は開集合とは限らない. ここで \(Z\) のコンパクト性から, \(\{ U_z \}\) の内, 有限個だけ集めれば \(Z\) の被覆になっている. それを \(\{ V_z \mid z \in S \}\) とするとき, 対応する \(\{ U_z \mid z \in S \}\) を考えれば, これは \(U\) と重ならないので \(U = \bigcup_{z \in S} U_z\) とすればいい. これは有限個の積なので確かに開集合.
補集合が開集合なので \(Z\) は開集合.
一つのサイズが有限のような被覆で \(\Rn\) を覆って見せればよい. 例えば, 球の列 \[\{ U_i = ( \| x \|_2 < i ) \mid i = 1,2,\ldots \}\] は確かに \(\Rn\) の被覆である.
\(Z \in \Rn\) がコンパクトならば, \[\{ U_i \cap Z \}\] の内有限個を集めれば \(Z\) の被覆になっている. 有限個なのでその添字 \(i\) の最大値 \(I\) が取れて, \(Z\) の半径として \(I\) という上限が得られる. 従って \(Z\) は有界.
補題 1,2 を合わせて, コンパクト \(\implies\) 有界閉集合, が示された.
有界閉集合 \(Z\) がコンパクトであることを示す. 一般にコンパクト集合の部分集合はコンパクトなので, \(Z\) より大きな閉集合を作ってそれがコンパクトであることを示す.
\(Z\) は有界なので適当なサイズの超立方体 \(C_0\) の \(1\) 個で \(Z\) を被覆できる \((C_0 \supset Z)\).
\(C_0\) がコンパクトでないと仮定して矛盾を導く. 適当な被覆 \(\{U_i\}\) を考える. コンパクトでないので有限被覆を持たない.
\(C_0\) を一辺サイズ \(1/2\) の \(2^n\) 個の立方体に分割することを考える. 小立方体の内の少なくともどれかは, やはり \(\{U_i\}\) の有限被覆を持たない. そうでないと全て有限被覆で済むことになって \(C_0\) がコンパクトであることに反する. というわけでその有限被覆を持たない小立方体の一つを \(C_1\) とする.
このことを繰り返してくと \(C_0, C_1, C_2, \ldots\) という列が出来る. サイズは半分ずつになっていくので, その極限はある一点 \(x\) に収束する. ここで \(C_0\) が閉集合であるので極限値 \(x\) は \(C_0\) に含まれる.
被覆の内 \(x\) を含むものを \(x \in U_j\) とする. これに対して十分大きな \(k\) を取れば \(x \in C_k \subset U_j\) とできる. これは \(C_k\) が有限被覆を持たないことに矛盾する.