2019-04-29 (Mon.)
\(\def\epi{\mathrm{epi}}\def\dom{\mathrm{dom}}\def\conv{\mathrm{conv}}\def\cl{\mathrm{cl}}\)
ここでは \(\mathbb R^d \to \mathbb R \cup \{ \infty \}\) なる関数を関数として考える. ここで \(d\) は適当な自然数.
値が有限である領域を, 実効定義域とか有効領域とかいい, \(\dom\) で表す. \[\dom(f) := \{ x \in \mathbb R^d \mid f(x) < \infty \}\]
関数 \(f\) に対してこれのエピグラフとは次のような図形のことでこれを \(\epi(f)\) と書く. \[\epi(f) := \{ (x, y) \in \mathbb R^{d+1} \mid x \in \mathbb R^d, y \geq f(x) \}\]
関数 \(f\) が (下に) 凸関数であることは, \(\epi(f)\) が凸集合であることと同値. \[\forall x_1, x_2 \in \mathbb R^d, \forall t \in [0,1], t f(x_1) + (1-t) f(x_2) \geq f(tx_1+(1-t)x_2)\] \[\iff\] \[\forall z_1, z_2 \in \epi(f), \forall t \in [0,1], tz_1+(1-t)z_2 \in \epi(f)\]
明らかに関数とそのエピグラフは一対一対応しているので, しばしば同一視する.
集合 \(C \in \mathbb R^m\) について, それを含む最小の閉集合を閉包という. 同様に, それを含む最小の凸集合を凸包という.
関数のエピグラフにこの概念を適用することで, 関数の閉包と凸包を考えることが出来る. それぞれ \(\cl(f), \conv(f)\) と書く (closure, convex hull). さらに \(\cl(\conv(f))\) を閉凸包と言う.
\(\dom(f) \ne \emptyset\) なる関数 \(f\) について, 次のような関数 \(f^*\) を \(f\) の 共役関数 という. \[f^* \colon \mathbb R^d \to \mathbb R \cup \{\infty\}\] \[f^*(y) := \sup_{x \in \mathbb R^d} \left[ \langle x,y \rangle - f(x) \right]\] ここで \(\langle x,y \rangle\) は \(x\) と \(y\) との内積. \(f\) から \(f^*\) を得る操作を ルジャンドル変換 という.
共役関数 \(f^*\) は凸関数である.
\(\sup\) に関して, \(\sup_x \left[F_1(x) + F_2(x)\right] \leq \sup_x F_1(x) + \sup_x F_2(x)\) である性質から従う.
\(f^{**}\) (\((f^*)^*\) のこと) は \(f\) の閉凸包になっている. \[f^{**} = \cl(\conv(f))\]
証明...