確率の定義

2019-12-14 (Sat.)

測度論 確率論

\(\def\F{\mathcal{F}}\def\R{\mathbb{R}}\)

測度空間

測度空間 とは, 集合 \(X\) , \(X\) の部分集合の族 \(\F\) , 関数 \(m \colon \F \to \R\) ( \(\R\) は実数) の三組

\[(X, \F, m)\]

であって, \(\F\) は次を満たすとする.

  1. \(\emptyset \in \F\)
  2. \(A \in \F \implies A^c \in \F\) (ここで \(A^c\) は \(X \setminus A\) のこと)
  3. \(A, B \in \F \implies A \cup B \in \F\)
  4. \(E_i \in \F \implies \bigcup_{i=1}^{\infty} E_i \in \F\)
ちなみに 1~3 を満たす \(\F\) を \(X\) の f-集合体という. 1~4 を満たす \(\F\) を \(X\) の \(\sigma\) -集合体という.

そして更に \(m\) は次を満たすとする.

  1. \(m(\emptyset) = 0\)
  2. \(\forall A \in \F, 0 \leq m(A) \leq \infty\)
  3. \(E_i \in \F \land (i \ne j \implies E_i \cap E_j = \emptyset) \implies m(\bigcup_{i=1}^{\infty} E_i) = \sum_{i=1}^{\infty} m(E_i)\)

性質

導かれる性質として次のようなものがある.

  1. \(X \in \F\)
  2. \(E_i \in \F \implies \bigcap_{i=1}^{\infty} E_i \in \F\) (加算無限個の積もok)
  3. \(A, B \in \F \implies A \setminus B \in \F\)
  4. \(m(A^c) = m(X) - m(A)\)

可測関数

測度空間 \((X, \F, m)\) に対して, 関数 \(f \colon X \to \R\) があるとする.

実数 \(a \in \R\) について \(\{ x \mid f(x) > a \}\) のことを \([f > a]\) と書く. 全く同様に \(\{ x \mid f(x) \leq a \}\) のことを \([f \leq a]\) とか, \(\{ x \mid f(x) \in E \}\) のことを \([f \in E]\) とか書く.

任意の実数 \(a\) について

\[[f > a] \in \F\]

のとき, \(f\) を 可測関数 という.

ここで定義中の \([f > a]\) を \([f \geq a]\) とか \([f < a]\) とか \([f \leq a]\) に置き換えても同値である. ここから \([f = a] \in \F\) を導ける.

確率空間

測度空間

\[(\Omega, \F, P)\]

があって, その \(P\) が更に

  1. \(P(\Omega) = 1\)
  2. \(0 \leq P(A) \leq 1 ~ (A \in \F)\)

を満たす時, これを 確率空間 という. また, \(\Omega\) を 標本空間 , \(\F\) を 事象族 , \(P\) を 確率 という.

諸概念

確率空間 \((\Omega, \F, P)\) に対して, 関数 \(X\) が \(\Omega \to \R\) なる関数であってしかも可測関数であるとき, \(X\) を 確率変数 という.

例えば \([X = a] := \{ \omega \in \Omega \mid X(\omega) = a \}\) であるが, 可測関数であることからこれは \(\F\) に入ってる. 従って \(P([X=a])\) が値を定める. これを普通 \([]\) を省略して \(P(X=a)\) と書く.

特に \(X\) に対して \(\mu_X(a) = P(X=a)\) で定めた関数 \(\mu_X \colon \R \to \R\) を \(X\) の 分布 という.

任意の実数区間 \([a,b]\) について

\[P(X \in [a,b]) = \int_a^b f(x) dx\]

を満たすような関数 \(f\) があったとする. このとき \(f\) のことを \(X\) の 確率密度 という.

確率密度が存在するとき, \(\mu_X(a) = P(X=a) = P(X \in [a,a]) = \int_a^a f(x) dx = 0\) である. 例えば実数区間の一様分布などがそれである.

\[E[X] = \int_\Omega X(\omega) dP(\omega)\]

という積分値が定まるとき, それを \(X\) の平均とか 期待値 とかいう.