ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima
良かった. キャラクターももちろん良くて, これで商売してこうという気迫を感じるんだけども, 全然それだけじゃなくて, 単純に世界観が楽しい. 気楽にギャグテイストで味わっても本当に楽しいし, 少しラップを勉強して見直すと実はかなりよく監修されてることに気づいて楽しい.
最終話は実直すぎてややつまらなかった.
惜しいアニメだった. 第九話以降が良かったので全体としては満足感が高いのだが, そこまでがつまらない. アニメーションは至るところが省略されてそれは大体最後までそう. 押井守はインタビュー映像の中で, カメラワークを省略することで別なところに労力が注げるから良いでしょと語っているが. それでいてストーリーというストーリーも, 大体は学園モノの形式だけをやっているだけで, 寒々しい.
でも第九話は良かった. 押井守のやりたいことを誰にも止められずにやったらこうなりましたといったアニメで, 8割方はつまらないが残りの2割のために全12話を忍耐強く見れるかどうかだ. ただ監督本人の映画論を語ってるだけじゃんみたいなパートは正直好きだった.
せめて最終話が2話か3話あたりにあって, それに対する呼応が最終話にあれば良かったのにね.
「おジャ魔女どれみ」 20周年記念の劇場作品. おジャ魔女一期の放送開始が 1999 年の 2 月で, この映画の放映開始が 2020 年の 11 月なので, 何から20周年なのかはちょっとイマイチわからないけど.
おジャ魔女を全く見てないならさすがにこれだけ見ても感動はないと思う. かといって全シリーズを総復習まではしなくていい. 当時見た覚えがある, くらいのコンディションが最高に楽しめていいはずだ.
さて20周年記念作品であるというだけであって, この作品自体はおジャ魔女どれみの続編とかではない. 「子供の頃におジャ魔女どれみにハマっていた」人たちが大人になった今をテーマにした作品であって, おジャ魔女どれみはいわばモチーフでしか無い. つまり, この作品の主人公(たち)は映画を見に来てる人と同じような境遇の人たちである. こんな映画を見に来るような人はそういう人で間違いないからね.
おジャ魔女以来, 東映は日曜朝の枠を確保してアニメを流し続けてきた. それがついにプリキュアになってからは, 一年ごとにキャラクターも世界も刷新し, プリキュアのタイトルと設定はそのままだが, 基本的には別の作品になってしまう. グッズをどんどん新しく作って, 去年までのグッズを時代遅れにしないといけない, そういう事情がある. それはプリキュアの二代目から始まった文化だが, そんな制作側の思惑とは裏腹に, 我々は未だに20年前のアニメに心を囚われ魅了され続けている. そんな人たちへの制作陣からの感謝と, これからも好きでイてくれという, あんまり堂々とは言えない, ひっそりとしたメッセージだと, 私は解釈している.
内容について. あのニチアサの馬越の絵でもって, はっきり大人向けに「おジャ魔女」を作り直してくれた作品である. おジャ魔女自体のネタバレを少しするが, 様々な困難を抱えた女の子たちが魔法の力で解決すべく, 魔女を目指す, そういうお話だ. しかし, この「魔女見習いを探して」は, 魔法のある世界のお話ではなく, 映画を見ている我々の世界と地続きにあるお話だから, そこに魔法はない. 大変地味で泥臭い方法で困難を乗り越えるしかない. ホウキで飛ぶ代わりに深夜バスに乗るし, 人の心を操る魔法は使えないから人間関係に困難を抱えたままだ. しかし憧れは心の支えになる.
あ, そうそう. おんぷちゃんが好きなあの男が出てきたのは, 自分の中でも賛否両論だ. せっかくの20周年記念作品だし, それ単体として, キレイな作品を作る方法もあった. そしてそれなら, あんなのは出さない方が良かったんじゃないかと思う. おジャ魔女の三人をモチーフにするヒロイン三人だけでお話を作っていればどれだけ美しかったか. しかし, そうは作らなかったわけだ. これは我々をテーマにした作品であって, 東映からのファンへのアンサーだ. そこには男のオタクもいて当然だから, 登場しないわけにはいかないのだろう.
決して, すべてがハッピーに終わるわけではないのもまた, おジャ魔女を踏襲していていい.
ところで, 今まで普通に声優に歌わせてた楽曲を突然子どもたちに歌わせたのを流すというの, 好きじゃない. あれもおジャ魔女最終話の踏襲なのは分かってるけど. けどさ...
本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません (2020)
いわゆる異世界ラノベ. 文明はあるがそこまで発展していない, 科学以前の中世ヨーロッパくらいが舞台. 一期と二期があり, この一期では本を作るための紙を作る話. Dr.Stone っぽい.
原作が好きなので見てる.
漫画に比べても万人受けしないといけないという制限から多少チューニングされている感触はあるが, 概ね良い. 敢えて言えば, アニメは原作よりもアイドル側に重点をより置いているように感じられて, そのために一見アイドルアニメ風に感じるかもしれない. しかし, だとしたら普通はありえないような, 無精髭を生やしてだらしなく太ったアイドルオタクがいいカッコして喋ったりしているシーンが不自然に思えるだろう. 何を隠そう, これはアイドルアニメでは無い. 地下アイドルオタクのアニメなのだ. だからこそ, アイドルがバイト先でオタクと会話するし, 推しと電車で偶然同じ車両に乗ってしまったときの対処法をわざわざ描くわけだ.
ところでただのアイドルオタクアニメではない. それは単なるモチーフであって, 本質ではない. 本質は何かと言えば, 平尾アウリであるところにある. それは百合であって, シュールなギャグにある. 百合は百合でも, 多少ガチで重い部類に入るのだが, アニメは気にしなければ軽く感じられるようになっているので, そういうのに興味がないのなら, ゆりゆりくらいに愉しめばいい. そういうのを込みで味わおうと思えば匂わせてくれるようにもなっている. 神経を研ぎ澄まして鑑賞して, もしやここは? と思ったら, それは思い込みじゃなくて本当にそう. 本当の平尾アウリを楽しみたい人は, 是非原作を読め.
平尾アウリらしいシュールな笑いというのは, 残念ながらアニメには反映されてない. それは漫画独自のものだから, 映像化するのは難しいし, 成功したところで万人受けはしないだろうから, しょうがない.
最終話、残念だったな。 今まで原作にただ忠実に作るだけのアニメだと思ってたのに、最終話にして突然何を張り切ったのか、アニオリでアイドルどうしのどろどろを見せてきた。 何を考えてるんだ。 この作品はアイドルアニメではなくて、アイドルオタクアニメであり、百合アニメなのに。 やっぱりアニメは漫画を超えられない。 後半は良かったです。
何度でも言うのだが、やっぱりがっかりだ. 「ゆるゆり」ちゃうんやぞ. そんなピュアで頭ふわふわな百合でもアイドルアニメでもなくて、これは、平尾アウリなんだということを制作陣は見ていない. 例えばヒロイン格でもある「舞菜」はそんな、おとなしくてシャイな乙女では全然ない. 最初から女の子が好きで囲まれたいからアイドルになったという不純な子であることが漫画第一巻第一話に描かれている.
そして、それに呼応するかのように、平尾アウリはえりぴよに次のページでこう言わせている:
"いいんだ 舞菜は 内気でシャイ"
もちろん、この二人は同じ場所でこのセリフを言っているわけじゃないから、 舞菜はこの思いを誰とも共有してないし、えりぴよは舞菜のセリフを受けて発言してるわけでもなんでもない. しかし、漫画上ではページで隣り合っているのだから、平尾アウリの作為なのだ. まるで、えりぴよは、舞菜の真の気持ちを知ってるかのようなセリフを吐くのに、我々読者はドキッとしてしまうのだ. えりぴよは舞菜が本当は腹黒なのを知っている. それでも彼女は、アイドルとしての舞菜を応援しているから、アイドルとは偶像だから、自分の都合のいいように受け止めるものだから、舞菜は「内気でシャイ」だと決めつけて、そう言い聞かせるようにわざわざ言葉にする. そんなものにすがってしまうか弱い女性であることを強く描いている. トップオタクなどと力強く描かれている彼女と心の弱さとのギャップを描く物語だと、ここではっきり述べている.
そういったメッセージを、アニメはがっつり無視している.
そらよりもとおいばしょ / Yorimoi / 宇宙よりも遠い場所
女の子がかっこいいアニメ.
プリンセス・プリンシパル / Princess Principal
面白いけど, 真剣に見ないとすぐストーリーわからなくなる.
キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series
このタイトルくらいは知ってたけど, 見るのは初めてだった. 面白い. 主人公が頭がよいのが見てて嬉しい. 単純な勧善懲悪でないのも良い.
UQ HOLDER! ~魔法先生ネギま! 2~ (2017)
OP がネギまということしか.
The very lovely tyrant of love ♥ / 恋愛暴君
これも「はがない系」です
OP が WUG. かわいい.
2002年の「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」, 2004年の「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルてZ」に続く第三作品目.
さすがに時代は進み, 現代風にアレンジされている. (主人公の声もモモーイじゃなくなっちゃってる! 代わりに母役をモモーイが演じてるの熱い)
基本的には別世界での話だと思ったほうがよくて設定が諸々違ってる. しかしギャグの雰囲気とテンポは踏襲されているので, 安心してみるとよい. 時代は変わり, 萌えの方向性もだいぶ違うものとなった. アニメもそれに合わせた変更もなされてる. 例えばやたら暴力的だった主人公たちは大人しく可愛らしくなってる. 3DCGによるアイドルの歌唱シーンは, 時代だなあという感じ.
まさに「きらら」アニメ. 大きなストーリーもなくて, わかりやすいギャグで笑わせるわけでもなく. ただ「きらら」っぽい雰囲気を楽しむアニメ.
我々は所詮現代の女子高生ではないので, 彼女たちが何を考えてどういう学校生活をしているのか本当のところを知らない. だからここに描かれているのが本当のことに思えてしまう. 本当の女子高生には劇的なドラマが起きることもないし, 漫才師でもないので視聴者を笑わせるためのギャグを言うようなこともしない. ただ内輪で盛り上がるのが自然に思えるし, 我々はそれを観測させてもらっているのだという体験が出来る.
こういった作品づくりはきららに多く見られて「ひだまりスケッチ」は真に迫っている. 少しポップだけど「三者三葉」もこれに基づいている. 「キルミーベイベー」なんかは設定が更にぶっ飛んでいるが, それでも根底に流れる空気は結局これを受け継いでいるから, あの空気感なのだと納得されるはずだ.
いいアニメだったなあ.
原作はソシャゲ. 侮るなかれ, 本当によく出来たアニメだった. ストーリーもよし. 大筋としての一本のストーリーがありつつもそちらはサブで, 一話完結のメインのストーリーが毎回繰り広げられる. ソシャゲではいくらでも無限にキャラクターがおり, アニメはいわば, 一話に一人キャラクターを紹介してくれるようなもので, そのためなら一貫性をがらっと崩して思い切って全ての雰囲気をそのキャラクターの色に染めてくれる. 特に好きなのは第18話, 大谷吉継の回だ. 彼女はとにかくやることなすこと不幸な少女といったキャラクターで, そのために今までずっとポップな絵柄だったアニメの作画が, 水彩画で繊細にタッチしたような儚げな作画に変えられている. アニメはこのくらい自由であって欲しいと思う.
ちなみにパチスロ化もしていて, こちらの方が大いに人気のために, ネットで検索してもこっちの情報しかヒットしない.
Panty&Stocking with Garterbelt
ガイナックスからトリガーが分離するちょうど直前くらいの作品で, 実質的にはトリガー制作アニメ. ギャグアニメではあるが, その内容や基本的なスタイルはグレンラガンだし, キルラキルだと言ってしまって憚らない. ただし, アメコミのような強いデフォルメでどぎついシモネタを扱っているので異色だ. よっぽど外部とのシガラミがないのだろう, 実験的アニメでもある. 見てる側としては振り回されてしまうが, そこはギャグなのでそれも込みで愉しめば良い.
この作品、BGMや楽曲が本当に良い. 私はこのアニメの円盤は持ってないが, サントラだけは手に入れた. アニメーションももちろん良く, 終始ふざけて見えるがどこにも手抜きがない. それでつい, そちらにばかり目を奪われるが, BGM にも注意して欲しい.
放送時期としてはちょうどハルヒ2期と同じくらいだったか. 久米田作品は勝手に改蔵でハマって, 絶望先生も全巻せっせと買い集めては読み込んでいた. そんなわけで原作も好きだし深夜アニメというものに夢中になりだした頃に見た作品. こういうのもあるのか! と衝撃を受けたのは当然だ. 同じSHAFTアニメでネギまも見てたような見てなかったような気もするが, それでもこの細かい(そしてもしょうもない!)黒板ネタとか, 声優をシャッフルしてみるとか, 原作に忠実でありながらアニメであることを最大限利用した大人のイタズラを見ているような感じ. この頃のSHAFTが一番好きだったなあ. 原作が一番好きだからだけど.
まだ見てないなら今すぐ見ろ. 話はそれから.
外観について. 全26話のNHKアニメ. 13話あたりでどうしてもダレるものだが、ギャグ回も挟みつつ、総集編の回でも上手に再構成していて上手かった.
内部構成について. 大きく3つのパートがあると思う. 電脳メガネパート、4423パート、小学校パート.
電脳メガネパートではこのアニメの最大の特徴である、どの子供も当たり前に着用してるARメガネとそれに関わる活動. プログラミングとかエンジニアリングが好きなら一番ワクワクするパートで、第一話で視聴者を世界に引き込む主軸になっている. 専ら子供のおもちゃに成っているものをどうして役所が管理してるのかとかツッコミどころがあるが. このアニメはほとんどすべてが小学生の視点で描かれている. 小学生から見れば自分たちの世界は狭く歪曲して、そしてそれが全てだから、多少のツッコミどころは目をつむるべきかもしれない. 例えばサッチーを悪者扱いしてるのなんかもそれだ.
4423パート. ミチコさん伝説だったり、イサコの兄に関わる謎だったりするパート. これが電脳メガネパートに深みを与えている. ただ単に、近未来の技術、すごい! じゃなくて、技術が進んだとしてもやっぱり幽霊的な存在を人は見出してしまうことを言っている. どんなにサイバーパンクの世界でも、人の気持ちを描いたドラマを書くことは可能だ.
それから小学校パート. 終盤の方で転向前の少女によって明かされるが、始めの方でもイサコの意地悪でちらっと言われている. 主人公ユウコは誰にでも優しい少し大人びたような少女だが、その実どこか陰湿なところがある. 小学生の狭い世界に閉じこもってるからこそそのように振る舞い、そう見えるわけで、大人が見れば可愛らしいものだが、 このアニメの中では核心になっている.
この世界で不思議なのはほとんどの大人たちはメガネをしていないことだ. メガネを掛けていないと認知できない電脳ペットを主人公は長年飼っているのだが、親はそのことすら忘れていた. 大人たちは子どもたちがメガネに夢中なことに良い顔をしておらず、ちょうど現実の大人が子供からゲームやケータイ・スマホを取り上げるように、メガネを取り上げる. こんなことを言う. 子どもたちは触ることの出来るもので遊ぶべきだ、と. これは電脳ペットへの批判であり、ヒロインも、飼っているデンスケという犬の毛並みを触ることが出来ないことを悲しんでいる. それに対するアニメの答えはこうだ. 心の痛みは現実なのだ. デンスケはこのアニメの最後で死ぬ. それは所詮データの消去にすぎないのだが、それでも悲しむ気持ちがあれば、デンスケの存在は現実だったのだろう. ラスト、主人公とその妹はメガネなしにデンスケの存在を感じる、これが答えだ. 「痛みを感じる方向に答えがある」
感想. ずっとブラコンを通してたくせにラスト5分で急に百合に舵を切るアニメ. 終盤に行けば行くほど面白くて最後昇華させてくれる. 最高だ.
Serial Experiments Lain / シリアルエクスペリメンツレイン
Amazon Prime で見た. 暗い, 奇妙, 可愛くない(可愛いけど). ストーリーはSFで大筋だけ言えばありふれている. 電子世界に魂を移譲し, もはや現実の物理世界の方が下位の概念になってしまうみたいな話. アニメーションは細部がこだわっていてかっこいい. 気味の悪い間のもたせ方, 見てて苦痛にもなるような人間の表情の描き方がカッコよくて一生記憶に残る. 今後一生, 「あー、昔 lain というアニメを見たなあ」と思えるようになる. 最後の方は百合.
1995年に放送された新世紀エヴァンゲリオンがあるが, 同じアニメ制作会社であり, 同じ庵野秀明であるだけあって, あちこちにエヴァンゲリオン的演出が散りばめられている.
冒頭のこれからしてそうだもん.
ところでアニメの最初にこういうのを入れるの, 深夜アニメじゃ全く見ないよなあ. 夕方のアニメだったら今でもあるのかな?
原作はLaLa連載の同タイトル少女漫画. ギャグ多めと少し早めに感じるテンポの良さがあって続けざまに見ていられる. エヴァで培われたような少女漫画とは思えない硬派なカット(信号機!)による心象表現がかっこいい. ウテナにも通ずるところがあるけど, ウテナみたいに意味不明で終わらせてないので偉い. やりようによっては単なるのほほんとした, とてもアリガチな少女漫画であったかもしれないものを2020年になってから見ても真剣に見られるようになっている. ラブコメにギャグを入れたりかっこいい演出入れたりというのはシャフトの「ぱにぽにだっしゅ」なんかにも続いているのかもしれない.
満足感の高いアニメだった.
話は分かりやすくてカロリーも高くない. 覚悟せずにいつ見てもよい. ただし作画が本当に素晴らしいので何度も止めてはじっと見, 少し巻き戻してはまたじっと見入ってしまう.
タイトルは「少女A」との対比なのかな.
ジャンルとしてはロボットSFアニメなのだろうか. ロボット要素 3(作画がすごい!): SF要素 1 : ギャグ要素 2 : 女の子のキャラクター 4(作画がすごいんだってば!)といった感じ. ロボットが好きな人が見ればこの配分は全く逆転するんだろうな. 原作とメカニックデザインが大友克洋で, キャラクター原案が江口寿史. 間違いようのない組み合わせ. 江口寿史の描く女の子そのものが力強く動いている(江口の女の子キャラはみんな強い)ことに感動. ギリギリまで攻めて絶対に見えないパンツの作画に感動(凄まじい執念).
以降ネタバレ含.
ストーリーについて.
特段ややこしい内容であるどころか, 大筋は最初の30分で大体理解できる. SF的なところに重点を置いてるよりも「ロボットでシリアスにギャグ」をやってる. ロボットといえば, 人が乗り込んで操縦する二足歩行, なんてものがあるが, 非現実的でナンセンスだという冷めた指摘がある. このアニメはそれを逆手に取ったお茶目さがある.
つまり, ロボットに乗り込んで戦ってるわけじゃなくて, あれは老人の介護ベッドなのだと. あくまでそれが自立式で自走機能がついていて, 老人を世話するためのコンピュータが搭載されているのだと. だから人を載せているのは当然だ. 正確には寝かせている.
対して, 物語終盤には純粋な軍事兵器ロボットが登場するのだが, そちらにはわざわざ人なんて乗り込んでない. ついでに言うとこのアニメに二足歩行ロボットは出てこない. みんなキャタピラなりもっと安定性のありそうな手段で移動している. (「映像研には手を出すな」のロボット論争を思い出してしまう.)
とまあ, このアニメはそう言っているわけで, 今後一生, 人が乗り込むタイプのロボットを見るたびに私は, 介護ベッドかよと笑ってしまう呪いに掛けられたわけだ.
反科学, 反文明をテーマにしたSF. 科学は便利だけど一歩誤ると~といういつものやつ. どう見ても「天空の城ラピュタ」と全く同じコンセプトなのだが, インターネットによれば実際宮崎駿が脚本に関わっていたのだとか. 神秘な石を持った女の子, 空を目指す男の子, いつの間にか頼れる味方になっている敵キャラ, 現代の科学を超越した古代文明の発見...
ナディアは科学アレルギーだし, 菜食主義者でとにかく面倒くさい. 最初は年の割に大人びた不思議な女性に思えるが, そんなことはなく子供らしい一面を見せる. 理屈を抜きに感情を優先するところなんかが, たいへん人間っぽい.
ナディアの肌の色は今なら「褐色」として萌え要素としてしか言及されないだろうが, はっきりと黒人だと言ってるのが, やはり昔のアニメだ.
Wikipedia によれば, 本作品は4部からなる.
大雑把にいえば, 序章と第一部がNHKらしい(ある意味平和な)アニメで, 第二部が尺つなぎ, 最終部が庵野秀明の本気というか SF パートだ. 最終部に関しては, いろんなアニメのパロディ&リミックスという感じもする. エヴァ的な要素(本作はエヴァより前のもの)がたくさん用意されているのも興奮する.
第二部の無人島編は単なる尺稼ぎでダレてしまうとか言う人もいるが, 私は嫌いじゃなかった. 確かに何も話は進まないけれど, ジャンとナディアの恋が発展する様子を眺めることができる. 34話はさすがに最悪だったけれども.
第二部と最終話のつなぎ方が本当に急というか雑だった.
PrimeVideo に 300 円を払って見た. 期間内なら何度でも再生できるから, 何度でも見た. 見れば見るほど素晴らしくアニメーションしており, これが自分が生まれるより先の作品だと知って泣いた. 私が今まで見てきたアニメはすべてこれの模造品じゃないかとすら思った.
たぶん押井守は魅力的なキャラクターを作ることはできないけど, それ以外のことは出来る. 原作者からすればたまったもんじゃないが, 最高の作品を作るための素材として原作漫画は消費される. 「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」はSFとして最高だと思うが, うる星やつらとしては改悪だと言われている, らしい. 高橋留美子がブチギレたエピソードもインターネットに残っているくらいだ.
しかしまあ, 「うる星やつら」に特段の思い入れもない私には関係ない話だ. 「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を見たという経験は一生忘れない.