まだ見てないなら今すぐ見ろ. 話はそれから.

外観について. 全26話のNHKアニメ. 13話あたりでどうしてもダレるものだが、ギャグ回も挟みつつ、総集編の回でも上手に再構成していて上手かった.

内部構成について. 大きく3つのパートがあると思う. 電脳メガネパート、4423パート、小学校パート.

電脳メガネパートではこのアニメの最大の特徴である、どの子供も当たり前に着用してるARメガネとそれに関わる活動. プログラミングとかエンジニアリングが好きなら一番ワクワクするパートで、第一話で視聴者を世界に引き込む主軸になっている. 専ら子供のおもちゃに成っているものをどうして役所が管理してるのかとかツッコミどころがあるが. このアニメはほとんどすべてが小学生の視点で描かれている. 小学生から見れば自分たちの世界は狭く歪曲して、そしてそれが全てだから、多少のツッコミどころは目をつむるべきかもしれない. 例えばサッチーを悪者扱いしてるのなんかもそれだ.

4423パート. ミチコさん伝説だったり、イサコの兄に関わる謎だったりするパート. これが電脳メガネパートに深みを与えている. ただ単に、近未来の技術、すごい! じゃなくて、技術が進んだとしてもやっぱり幽霊的な存在を人は見出してしまうことを言っている. どんなにサイバーパンクの世界でも、人の気持ちを描いたドラマを書くことは可能だ.

それから小学校パート. 終盤の方で転向前の少女によって明かされるが、始めの方でもイサコの意地悪でちらっと言われている. 主人公ユウコは誰にでも優しい少し大人びたような少女だが、その実どこか陰湿なところがある. 小学生の狭い世界に閉じこもってるからこそそのように振る舞い、そう見えるわけで、大人が見れば可愛らしいものだが、 このアニメの中では核心になっている.

この世界で不思議なのはほとんどの大人たちはメガネをしていないことだ. メガネを掛けていないと認知できない電脳ペットを主人公は長年飼っているのだが、親はそのことすら忘れていた. 大人たちは子どもたちがメガネに夢中なことに良い顔をしておらず、ちょうど現実の大人が子供からゲームやケータイ・スマホを取り上げるように、メガネを取り上げる. こんなことを言う. 子どもたちは触ることの出来るもので遊ぶべきだ、と. これは電脳ペットへの批判であり、ヒロインも、飼っているデンスケという犬の毛並みを触ることが出来ないことを悲しんでいる. それに対するアニメの答えはこうだ. 心の痛みは現実なのだ. デンスケはこのアニメの最後で死ぬ. それは所詮データの消去にすぎないのだが、それでも悲しむ気持ちがあれば、デンスケの存在は現実だったのだろう. ラスト、主人公とその妹はメガネなしにデンスケの存在を感じる、これが答えだ. 「痛みを感じる方向に答えがある」

感想. ずっとブラコンを通してたくせにラスト5分で急に百合に舵を切るアニメ. 終盤に行けば行くほど面白くて最後昇華させてくれる. 最高だ.