原作が好きなので見てる.
漫画に比べても万人受けしないといけないという制限から多少チューニングされている感触はあるが, 概ね良い. 敢えて言えば, アニメは原作よりもアイドル側に重点をより置いているように感じられて, そのために一見アイドルアニメ風に感じるかもしれない. しかし, だとしたら普通はありえないような, 無精髭を生やしてだらしなく太ったアイドルオタクがいいカッコして喋ったりしているシーンが不自然に思えるだろう. 何を隠そう, これはアイドルアニメでは無い. 地下アイドルオタクのアニメなのだ. だからこそ, アイドルがバイト先でオタクと会話するし, 推しと電車で偶然同じ車両に乗ってしまったときの対処法をわざわざ描くわけだ.
ところでただのアイドルオタクアニメではない. それは単なるモチーフであって, 本質ではない. 本質は何かと言えば, 平尾アウリであるところにある. それは百合であって, シュールなギャグにある. 百合は百合でも, 多少ガチで重い部類に入るのだが, アニメは気にしなければ軽く感じられるようになっているので, そういうのに興味がないのなら, ゆりゆりくらいに愉しめばいい. そういうのを込みで味わおうと思えば匂わせてくれるようにもなっている. 神経を研ぎ澄まして鑑賞して, もしやここは? と思ったら, それは思い込みじゃなくて本当にそう. 本当の平尾アウリを楽しみたい人は, 是非原作を読め.
平尾アウリらしいシュールな笑いというのは, 残念ながらアニメには反映されてない. それは漫画独自のものだから, 映像化するのは難しいし, 成功したところで万人受けはしないだろうから, しょうがない.
最終話、残念だったな。 今まで原作にただ忠実に作るだけのアニメだと思ってたのに、最終話にして突然何を張り切ったのか、アニオリでアイドルどうしのどろどろを見せてきた。 何を考えてるんだ。 この作品はアイドルアニメではなくて、アイドルオタクアニメであり、百合アニメなのに。 やっぱりアニメは漫画を超えられない。 後半は良かったです。
何度でも言うのだが、やっぱりがっかりだ. 「ゆるゆり」ちゃうんやぞ. そんなピュアで頭ふわふわな百合でもアイドルアニメでもなくて、これは、平尾アウリなんだということを制作陣は見ていない. 例えばヒロイン格でもある「舞菜」はそんな、おとなしくてシャイな乙女では全然ない. 最初から女の子が好きで囲まれたいからアイドルになったという不純な子であることが漫画第一巻第一話に描かれている.
そして、それに呼応するかのように、平尾アウリはえりぴよに次のページでこう言わせている:
"いいんだ 舞菜は 内気でシャイ"
もちろん、この二人は同じ場所でこのセリフを言っているわけじゃないから、 舞菜はこの思いを誰とも共有してないし、えりぴよは舞菜のセリフを受けて発言してるわけでもなんでもない. しかし、漫画上ではページで隣り合っているのだから、平尾アウリの作為なのだ. まるで、えりぴよは、舞菜の真の気持ちを知ってるかのようなセリフを吐くのに、我々読者はドキッとしてしまうのだ. えりぴよは舞菜が本当は腹黒なのを知っている. それでも彼女は、アイドルとしての舞菜を応援しているから、アイドルとは偶像だから、自分の都合のいいように受け止めるものだから、舞菜は「内気でシャイ」だと決めつけて、そう言い聞かせるようにわざわざ言葉にする. そんなものにすがってしまうか弱い女性であることを強く描いている. トップオタクなどと力強く描かれている彼女と心の弱さとのギャップを描く物語だと、ここではっきり述べている.
そういったメッセージを、アニメはがっつり無視している.