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Sat Oct 14 2017 日記

アニメ化について

私は深夜アニメを見る趣味があり、 遅い時間帯になると深夜二時台にあるようなアニメでもリアルタイムに見、 翌朝ゆっくり起きて出社しても構わないような職業を選ぶ羽目になった. しかし本職 (?) はアニメの方ではなくマンガの方であると自分では思っている. 基本的にメディアとして、アニメよりもマンガの方が優れているとさえ思っている. それは例えば、マンガならページをめくるのは自分自身だから、自分のペースで見られるとか、 書いているのは基本的には漫画家一人によるものだから一話の中で絵がブレないだとか. これについては強く主張するものではないが.

擁護すると、アニメは、マンガのような長期間の連載ではなく、たいていはある三ヶ月間だけの限定的でリアルタイムなものだから、 周囲のアニメ趣味の者達と語ることができる. 体験を共有できるというその点に於いて、アニメはマンガよりも優れており、 私がアニメを見るのをやめられない理由だと思う.

さて自分の好きなマンガがアニメ化するとなると、私は、決していい顔をしない. マンガを読むときは自分一人であるのに対して、 アニメは周りと共有するもの、だからかもしれない. そうして三ヶ月が過ぎると、終わるものだからかもしれない. マンガの方は相変わらず続いているのに、もう誰も語らなくなる、というのが寂しいからかもしれない.

もっと根本的には、マンガから自分の頭に投影していたキャラクターが、 アニメによって自分のイメージとは異なるイメージ (輪郭があって色がついて声がある) でテレビの中で動くことで、 あたかも現実化しているから. 今まで描いていた自分だけのイメージは嘘だったんだ、と、アニメ制作会社に言われたような気分になってしまう. いや、わたしはアニメ制作会社などよりも、原作者であるところの漫画家その一人しか信用しない.

ここ数年で良かったマンガ

ここ数年読んだマンガであって、そこそこ良かった (買ったことを後悔してない) 本は全て ひらたんの本棚 - booklog に登録してあるので、万が一に私と趣味が合うようならば参考にして欲しい. もっとも、私と趣味が合うような人間なんてのは私以外いない.

更にその中で、本当の本当に、文句なしに人に薦められるものをいくつか紹介したい.

映像研には手を出すな (既刊2巻)

実験的マンガ. 絵柄は流行りでもないし、そもそもそこまで上手ではないがそこまでヘタクソでもない. ただ私の中ではそういったことは全然、減点対象 (別に点数つけてるわけではないが) にならない.

ストーリーを一言で述べると高校生たちがアニメを制作するというだけだが、真面目に制作してるし、 主要キャラに男性はいないので色恋はないし、百合もない. 間違えてもげんしけんではない. 舞台は常に高校の中に閉じているが、マンガの中でしかありえない大袈裟な学園である、というのが一つの嘘である. 大学かというほど広く、生徒会が偉そうに権力を振りかざしている. ただし、キャラクターたちの行動は、性格のコクはありすぎるくらいにあるにしても、全て現実的だ. みんな都合よく天才的ではあるが.

ストーリーを言い直すと、 アニメ制作に関する天才2人と、マネジメント (雑用) に関する天才1人が組んで、映像研究会を作り、アニメを作る. 周りとあっと言わす. それだけだ.

天才が天才を発揮しているだけを見て、爽快に感じる. それで言うと次の作品も外せない.

響〜小説家になる方法〜 (既刊7巻)

主人公は表紙をいつも飾っている女の子で、響というのが彼女の名前だ. 彼女は小説の天才で、賞を総なめし、最近ではラノベでも簡単に賞を取ってしまう. しかしその天才性と引き換えにしたかのように、常識が無く、目上への尊敬がなく、目的のためには暴力をためらわない.

舞台は大きくは2つあり、一つは高校の文芸部である. 主要人物は2人だと思っていて、1人は響. 彼女は高校一年でこの文芸部に所属する. そして二人目は部長のリカという女性である. 彼女は大物の小説家の娘であり、彼女自身は親の七光に頼らずに小説家デビューをすることを目指す. 常識も良識も持っている. 結局は大物小説家の誰々の娘、というキャッチコピーでデビューを果たすのだが、 彼女は決してそういった触れ込みを喜んでいないだろうと思わせる.

言ってしまえば、この作品は天才と努力の人の対比である. それが響vsリカである.

ところでこちらは、先ほどと比べ物にならないくらいに絵が下手で、体のバランスがおかしいことがよくある.

ばくおん!! (既刊10巻)

私は、この「ばくおん」という作品よりも著者「おりもとみまな」のファンになった. ばくおん!はアニメ化もしたし、下ネタも彼の作品の中では少ない方で、長く続いているから、最初に手を出すのに適している.

テーマはバイクで、女子高生たちがバイク部なるものに所属してバイクについて語ったりツーリングに行ったりする、 とかそんなストーリーだが、ただのギャグ漫画なのでストーリーなんてどうでもいい.

彼は天才だと思う. バイクのマニアックなネタも綺麗にストーリー、ギャグに織り交ぜるのでバイクには興味のない人でも分かった気になって一緒に笑える. 例えば一貫して使われているネタに、SUZUKIネタがある. 私は本当にバイクのことは知らないが、このマンガで得た知識を信用すると、SUZUKIのバイクは他とセンスがズレており、 ごく少ない「SUZUKI信者」だけがSUZUKIのバイクを選んで乗るのだそう. 下ネタを好む漫画家であるが、大人を笑わせるギャグに仕上げてある. ばくおん!!ではそれよりもブラックジョークの方が多い.

途中まではニヤニヤしながら読むのに各巻の最後の一話だけは、しんみりした美談になっているのも好きだ.

決して、真面目にバイクレースをしているようなマンガではない.

推しが武道館いってくれたら死ぬ (既刊3巻)

あなたが百合を好きでも嫌いでもオススメできる. もしあなたが百合を好きなら、最高の百合マンガの一つとして薦めたい. 百合を好きでないなら百合ではないとして読んでくれれば構わないと思う.

百合好きはしばしば、著者の意図を無視して強引に百合だと認定することがあるが、 この作品はわざと紛らわしい合間を走っていると思う. まあ最新の三巻は百合じゃないと言うには苦しいように見えるが、それは私が百合が好きだから?

登場人物は2グループに分類される. 1つはある地下アイドルグループの追っかけをする人たちでその殆どは男で、典型的なオタクたちである. 主人公(えりぴよ)はその中の1人であるが女性である. この著者は女性はみんな美人に描く. もう1つは、その地下アイドルたちである.

主人公は地下アイドルの中のある1人 (舞菜) のファンをしていて、見てて痛々しいほどである. というのもその1人はそのアイドルグループの中で注目されない1人で、ファンが主人公1人しかいないから. 最近増えたけど.

作品の中でも「リア恋」という言葉は出てくるが、主人公の舞菜への思いはあくまでもアイドルの追っかけでしかないようにしか見えない. その様子を痛々しいと言ったが、あるときから構図が逆転する. 舞菜の方の心情描写に移り、 舞菜のえりぴよへの思いが描かれるようになる. ここらへんでようやく、百合が好きな人は、これはガチの百合作品だと思うようになると思う.

単純にギャグ漫画としてのセンスがあるのも、平尾アウリ作品の特徴である.