特に三番目に配慮すると, 初めから行列を使ってしまうのがてっとり早い. というわけで考えたのが次の順序(タイトルに書いたとおりだが).
次の2つの群を考える.
\(R\) が \(\Theta\) から \(\mathcal R\) への準同型写像になっていることを要請する. すなわち,
次の写像 \(r\) を 単位回転 と呼ぶことにする.
すべての \(R_\theta \in \mathcal R\) は単位回転に関する可換性を持つことを要請する. すなわち,
が成り立つ.
次の写像 \(f\) を フリップ と呼ぶ
すべての \(R_\theta \in \mathcal R\) について次を満たすことを要請する.
自明ではあるがここで導入した \(r, f\) はともに線形写像である.
以上の要請
これらを満たす \(R\) のことを 回転 と呼ぶ.
\((1,0) \in \mathbb R^2\) が \(R_\theta\) で写る先を
\[\left[\begin{array}{c}\cos(\theta) \\ \sin(\theta)\end{array}\right]=R_\theta\left[\begin{array}{c}1 \\ 0\end{array}\right]\]と定める.
回転 \(R_\theta\) は二次元空間から二次元空間への線形写像だと定めたので, \(2 \times 2\) の実行列表示が出来る. これは基底が写る先を調べることで分かる.
まず先程の定義から,
\[\left[\begin{array}{c}\cos(\theta) \\ \sin(\theta)\end{array}\right]=R_\theta\left[\begin{array}{c}1 \\ 0\end{array}\right].\]ここに単位回転に関する可換性を使うことで,
\[r R_\theta\left[\begin{array}{c}1 \\ 0\end{array}\right] = R_\theta r \left[\begin{array}{c}1 \\ 0\end{array}\right]\]なので,
\[\left[\begin{array}{c}-\sin(\theta) \\ \cos(\theta)\end{array}\right]=R_\theta\left[\begin{array}{c}0 \\ 1\end{array}\right].\]以上から次の行列表示を得る.
\[R_\theta = \left[\begin{array}{cc}\cos(\theta) & -\sin(\theta) \\ \sin(\theta) & \cos(\theta)\end{array}\right]\]回転単位 \(r\) について, \(R_\theta = r\) を満たすような \(\theta\) の内の一つを \(\theta = \pi/2\) だと定める.
自然数 \(n\) について \(R_{2n\pi} = (R_{2\pi})^n = 1^n=1\) なのでこれは恒等写像. \(n\) を \(0\) 以下の整数に拡張してもこれは成り立つ(逆射). ここから次を得る.
フリップ \(f\) を用いて \(fR_\theta\) は \(fR_\theta = (fR_\theta)^{-1}\) を満たすのだった. したがって行列表示したときに \((fR_\theta)^2\) は単位行列になる.
\[fR_\theta = \left[\begin{array}{cc}-\cos(\theta) & \sin(\theta) \\ \sin(\theta) & \cos(\theta)\end{array}\right]\]この2乗が単位行列と等しくなるために
\[\cos^2 \theta + \sin^2 \theta = 1\]を得る.
また, \((f R_\theta)^{-1} = R_\theta^{-1} f^{-1}\) であるが, \(R_\theta^{-1} = R_{-\theta}, f^{-1} = f\) なのでこれを代入することで
\[(f R_\theta)^{-1} = \left[\begin{array}{cc}-\cos(-\theta) & -\sin(-\theta) \\ -\sin(-\theta) & \cos(-\theta)\end{array}\right]\]これが \((fR_\theta)\) と一致することから
という偶奇性を得る.
\(R\) の準同型から
であった. 両辺を行列表示することで次の定理を得る.