夢日記/バー

2018/05/29

お酒は好きだけど、一人でお酒を提供するお店に行くというのはなかなか勇気がいるもので、何か気まぐれを起こす必要がある. それどころか慣れない海外でお酒を飲むなんてよっぽどの気まぐれを起こさないといけない. その日がまさにそうだった. 存分に人に褒められ、私の気分は有頂天だった. 地元の気張らない大衆食堂と言ったところで本場の料理をごちそうになり、ホテルの前まで送ってもらった. 相手がお酒を飲めない人だったので、ついつい合わせて私もお酒を飲まなかったが、こんな良い日に飲まないのは罰があたると思い、すぐ近所に見つけたバーに入った. いかにも私は場違いといった格好で、誰も私に興味を持たないのが救いだった.

どうせ何がなんだか分からないし、読み方も分からないので、メニューの適当な行を指さし、これを一杯、というつもりで、人差し指を立ててみせた. 右端に量のようなものが書いてあったので、これがお酒だということだけはようやく分かった. オリーブなんかも頼みたかったのだが、さすがに分からないのでそれは諦めた. 何を言ってるのだか分かりもしない隣のカップルの会話をBGMにし、カクテルを3杯飲んだところで帰るかと、席を立った. 店員に何と言えば会計に入って貰えるのか分からないので察してもらえることを心で祈っていると、店主は私にも聞き取れるような英語で話しかけてきた. 私が日本からの観光客(ということにしておいた)であることが分かると、こういうところではチップといって現金を余計に支払うものだと教えてくれた. そうは言ってもどのくらいを余計に支払えばいいのか分からない. どうせ二度と来ないお店にいい顔をしても仕方がない. とは言え日本人に悪い印象も持たれたくない. えいという気持ちで、財布に入ってた、余分に思えた硬貨の二枚を手渡した. 店員はそれを見て、小声に私に耳打ちをした. 他の客はもっと少ないよ、と言って、一枚を返してくれた.

これは、それだけのお話.